多くの電気設備を有する工場・ビル・病院等の施設では、電気使用量が多いため高圧の6,600Vの電圧で電力
会社から受電する必要があります。
この様な需要家の電気設備を「自家用電気工作物」といいます。
電気事業法第42条では、自家用電気工作物を設置するものは、その電気工作物の工事・維持・運用に関する保
安を確保するために保安規程を定め、経済産業大臣に届け出るように定めてあります。
電気事業法第43条では、前条で定めた保安規程に基づき、電気工作物の工事・維持運用に関する保安の監督を
させるために電気主任技術者を選任(通常、社員として雇用)しなければならない。と定められています。
自家用電気工作物の規模は大から小まで数多くあります。
そこで、ある程度の規模までは、上記の電気主任技術者を選任しないで、「電気管理技術者」又は「電気保安法人」
に外部委託することができる旨、電気事業法施行規則第52条の2項に定められています。
その規模は、7000V以下で受電する需要設備、出力2000kw未満の発電所、電圧600V以下の配電線路を
有する事業場となっています。
「電気管理技術者」として承認される要件は、電気事業施行規則第52条の2に定められています。
1.電気主任技術者免状の交付を受けていること。
(電気主任技術者免状の写し)
2.事業用電気工作物の工事、維持または運用に関する実務に従事した期間(免状の交付を受けた日以前における
期間 については、その2分の1に相当する期間)が通算し て、次に掲げる期間以上であること。
第1種電気主任技術者免状の交付を受けている者 3年
第2種電気主任技術者免状の交付を受けている者 4年
第3種電気主任技術者免状の交付を受けている者 5年
(実務経歴証明書)
3.次の機械器具を所有していること。
イ . 絶縁抵抗計
ロ . 電流計
ハ . 電圧計
ニ . 低圧検電器
ホ . 高圧検電器
ヘ . 接地抵抗計
ト . 継電器試験装置
チ . 絶縁耐圧試験装置
発電所を受託する場合はさらに、
リ .騒音計
ヌ .振動計
ル .回転計
(機械器具の保有状況届出書)
4.保安管理業務を実施する事業場の種類及び規模に応じ、別に告示する算定方法で算定した値が別に告示する値
未満であること。
(他に保安業務を受託している事業場一覧表)
5.当該事業場に2時間以内に到達し得ること。
6.緊急を要する場合には電話等により、直ちに連絡を受け得る措置を講じていること。
(外部委託契約書に記載必要)
7.他に職業を有しないこと。
(離職証明書)
(他に職業を有していないことの説明書)
8.電気事業法施行規則第53条、第5項の規定による取消につき責めに任ずべき者であって、その取消の日から2年を
経過しないものでないこと。
以上のような要件を満たしている人が、「電気管理技術者」として経済産業大臣の承認を得るために必要な書類は
電気事業法施行規則第53条に定められており、次のようなものになります。
1.保安管理業務外部委託承認申請書
2.保安規程届出書又は保安規程変更届出書
3.保安規程
4.自家用電気工作物の保安管理業務に関する契約書
5.委託契約の相手方の要件及び執務に関する説明書
6.他に職業を有していないことの説明書
7.宣誓書
8.他に保安業務を受託している事業場一覧表
9.設備条件確認書
10.外部委託承認申請データシート
これらの他に、
11.絶縁監視装置及び警報発生時の応動に関する説明書
12.絶縁監視装置等の設置に係る設備調査表
13.漏電遮断器の設置に係る設備調査表
などを必要とする場合もあります。
これらの「電気管理技術者」としての要件は、「電気保安法人」の「保安業務従事者」にも同じように適用されます。
「電気管理技術者」と「保安業務従事者」は同じ資格の元に電気保安業務に従事していることになります。
「保安業務従事者」は「電気保安法人」に電気管理技術者として雇用されているとも言えるかと思います。
一般社団法人 九州電気管理技術者協会 鹿児島 は、すでに「電気管理技術者」として承認され、長年の経験豊富な
個人事業主が、会員の相互扶助と技術の研鑽、事故時あるいは点検等の相互協力などを目的に設立された協会です。
協会では、「電気管理技術者」として事業を興そうとしている方の指導、助言、応援を致します。
協会事務所あるいは会員となっている「電気管理技術者」にご相談ください。
電気事業法
第二款 自主的な保安
(保安規程)
第四十二条 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に 関する保安を確保するため、
経済産業省令で定めるところにより、保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに
保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用(第五十条の二第一項の自主検査又は
第五十二条第一項の事業者検査を伴うものにあつては、その工事)の開始前に、経済産業大臣に届け出
なければならない。
2 事業用電気工作物を設置する者は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を 経済産業大臣に届け出
なければならない。
3 経済産業大臣は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、
事業用電気工作物を設置する者に対し、保安規程を変更すべきことを命ずることができる。
4 事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。

第四十三条 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせる
ため、経済産業省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を
選任しなければならない。
2 自家用電気工作物を設置する者は、前項の規定にかかわらず、経済産業大臣の許可を受けて、主任技術者免状の
交付を受けていない者を主任技術者として選任することができる。
3 事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者を選任したとき(前項の許可を受けて選任した場合を除く。)は、
遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
4 主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。
5 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければ
ならない。
電気事業法施行規則
第五十二条の二 前条第二項の要件は、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ、当該各号に定める要件とする。
一 個人事業者(事業を行う個人をいう。)
イ 電気主任技術者免状の交付を受けていること。
ロ 別に告示する要件に該当していること。
ハ 別に告示する機械器具を有していること。
ニ 保安管理業務を実施する事業場の種類及び規模に応じて別に告示する算定方法で算定した値が別に告示する値
未満であること。
ホ 保安管理業務の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。
ヘ 次条第五項の規定による取消しにつき責めに任ずべき者であって、その取消しの日から二年を経過しないもので
ないこと。
二 法人
イ 前条第二項の承認の申請に係る事業場(以下「申請事業場」という。)の保安管理業務に従事する者
(以下「保安業務従事者」という。)が前号イ及びロの要件に該当していること。
ロ 別に告示する機械器具を有していること。
ハ 保安業務従事者であって申請事業場を担当する者(以下「保安業務担当者」という。)ごとに、担当する事業場の
種類及び規模に応じて別に告示する算定方法で算定した値が別に告示する値未満であること。
ニ 保安管理業務を遂行するための体制が、保安管理業務の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこ と。
ホ 次条第五項の規定により取り消された承認に係る委託契約の相手方で、その取消しの日から二年を経過しない者
でないこと。ただし、その取消しにつき、委託契約の相手方の責めに帰することができないときは、この限りでない。
ヘ 次条第五項の規定による取消しにつき責めに任ずべき者であって、その取消しの日から二年を経過しないものを
保安管理業務に従事させていないこと。

電気事業法施行規則
第五十三条 第五十二条第二項の承認を受けようとする者は、様式第四十三の保安管理業務外部委託承認 申請書に
次の書類を添え、経済産業大臣に提出しなければならない。
一
委託契約の相手方の執務に関する説明書
二
委託契約書の写し
三
委託契約の相手方が前条の要件に該当することを証する書類
2 経済産業大臣は、第五十二条第二項の承認の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、
同項の承認をしてはならない。
一 委託契約の相手方が前条の要件に該当していること。
二 委託契約の相手方が前条第二号の要件に該当する者である場合は、保安業務担当者が定められていること。
三 委託契約は、保安管理業務を委託することのみを内容とする契約であること。
四 申請事業場の電気工作物が、第四十八条第一項各号に掲げる場所に設置する電気工作物でないこと。
五 申請事業場の電気工作物の点検を、別に告示する頻度で行うこと並びに災害、事故その他非常の場合における
当該事業場の電気工作物を設置する者(以下「設置者」という。)と委託契約の相手方(委託契約の相手方が前条
第二号の要件に該当する者の場合にあっては保安業務担当者を含む。)との連絡その他電気工作物の工事、
維持及び運用の保安に関し、設置者及び委託契約の相手方の相互の義務及び責任その他必要事項が委託契約
に定められていること。
六
委託契約の相手方(委託契約の相手方が前条第二号の要件に該当する者の場合にあっては保安業務担当者)
の主たる連絡場所が当該事業場に遅滞なく到達し得る場所にあること。
3 第五十二条第二項の承認に係る委託契約の相手方のうち前条第一号の要件に該当する者(以下「電気管理技術者」
という。)及び前条第二号の要件に該当する者(以下「電気保安法人」という。)並びに保安業務従事者は、その職務を
誠実に行わなければならない。
4 第五十二条第二項の承認を受けた者は、その承認に係る事業場の電気工作物の工事、維持及び運用の保安を
確保するに当たり、その 承認に係る委託契約の相手方の意見を尊重しなければならない。
5 経済産業大臣は、第五十二条第二項の承認を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、その承認を
取り消すことができる。
一 第二項各号のいずれかに該当しなくなったとき。
二 電気管理技術者又は電気保安法人が、第五十二条第二項の承認に係る委託契約によらないで保安管理業務
を行ったとき。
三 電気管理技術者、電気保安法人又は保安業務従事者が第三項の規定に違反したとき。
四 不正の手段により第五十二条第二項の承認を受けたとき。
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